済寧市魚台県魚城鎮にある張東波の工房に入ると、上品な木彫りの作品が目に飛び込んでくる。リアルな金蝉、粒ぞろいの蓮の花、純朴なカエル……シンプルな木片が、魚台の「根っこ彫刻職人」である張東波の手によって、見事なまでに彫り上げられ、磨き上げられた。張東波は自らの努力と献身で、木彫りの卓越した技術を身につけてきた。
筆者が魚台県魚城鎮にある張東波の工房に着くと、彼は彫刻に専念している。彫刻刀で樹皮と肉層の異なる紫檀の上をなぞると、コオロギの形がゆっくりと浮かび上がってくる。「これはオロギ同士が戦っている作品だ。今やっている工程は打胚という工程で、一番大事な工程でもある。」張東波は、それぞれの木材に特徴があり、木材を手に入れたら、まず木目や全体の形の特徴を研究してから、作る作品を構想するのだという。「刃物の使用前に、コオロギの体型、姿勢、足の高さ、長さ、湾曲をはっきりさせる必要がある」と張東波は言い、形が崩れないようにするため、まず細かい彫刻用粘土で「下絵」を作る。インスピレーションや興奮が湧くと、時には夜中の2時、3時くらいまで休憩することなく仕事をしている。
張東波は田舎風の木彫を好み、蓮華、蓮花、金蝉などの作品は、形がユニークで、色も控えめで安定しており、木質が細かく、肌理がはっきりしていて鮮やかで、それぞれに素晴らしい願いが備わっている。
張東波は、家族の複数の年長者が大工だったこともあり、幼い頃から木工が好きで、特に伝統的な木工技術である浮彫りが気に入って、高校卒業後、叔父に木彫を学んだという。魚台県は微山湖に隣接し、江の北にある魚米の郷とも呼ばれている。幼い頃から実家の畑によく蓮根が植えられており、ヘドロに汚されず、澄んだ水に穢されないという性質に大きな感心を持ち、蓮華や 蓮花というテーマに一層力を入れ、蓮の律動でシリーズ作品を作り上げた。
「木彫りは人間と同じで、余裕を持たないといけない」と張東波は言い、木彫は「引き算」の作業であり、切れ目を入れる前に注意しなければならなくて、肝心のパーツの彫りが悪いと、改善される見込みすらないこともある。