多様な政治が展開される「港町」という未知への扉 | ブックレビュー | 東洋経済オンライン

多様な政治が展開される「港町」という未知への扉 | ブックレビュー | 東洋経済オンライン

  『港町巡礼 海洋国家日本の近代』稲吉 晃 著(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします) 評者・東京都立大学准教授 佐藤 信 飛行機が現在のように一般化する前、港は未知への扉だった。島国・日本であればなおさらである。 国家を超えたヒトやモノの動きに注目する歴史学の動向もあって、「鎖国」以前については研究が著しく進展した。閉鎖的だと考えられていた日本列島の人々の海外との活発な交流が、そこでの港の重要性が、明らかにされてきた。 開港地からヨットハーバーまで 多様な政治が展開される港町 他方、「開国」以降の港についての歴史研究は、とりわけ同時期の鉄道と比したとき、遅れている。著者は前著『海港の政治史』以来、こうした停滞を破ろうとする若手研究者たちを牽引する存在である。 開国以後の港町というと、舶来の文物が集う印象がある。例えば、開港50年を記念してつくられた横浜市歌は「飾る宝も入りくる港」と謳(うた)っている。しかし、江戸・東京からほど近い横浜ならいざ知らず、入ってきた文物を内地に流通させるためには国内交通、なかでも鉄道との接続が不可欠だ。また、船舶が大型化すると港の深さも問題になる。 この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。 登録は簡単3ステップ 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題 おすすめ情報をメルマガでお届け
山梨知事選、5日告示 現職と2新人、自民分裂も | nippon.com

山梨知事選、5日告示 現職と2新人、自民分裂も | nippon.com

Newsfrom Japan 政治・外交 2023.01.03 16:26 / 2023.01.03 16:33 更新 左から長崎幸太郎氏、倉嶋清次氏、志村直毅氏任期満了に伴う山梨県知事選が5日告示される。自民、公明両党の推薦で再選を目指す現職長崎幸太郎氏(54... 共同通信ニュース 政治 ...

石原伸晃氏の政治団体、コロナ対策の助成金受給 「適正に申請した」(朝日新聞デジタル) – Yahoo!ニュース – Yahoo!ニュース

石原伸晃氏の政治団体、コロナ対策の助成金受給 「適正に申請した」(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース Yahoo!ニュース古市憲寿氏「政治家であれば選挙で審判されるわけですが」 “助成金問題”の石原氏、すでに落選と指摘(スポニチアネックス) - Yahoo!ニュース Yahoo!ニュースれいわ山本太郎氏「驚いている」石原氏の政治団体がコロナ助成金受給報道 ニッカンスポーツ石原伸晃氏の政治団体 “コロナ助成金”60万円受給 テレビ朝日石原氏団体、雇用助成金を受給 20年収支報告に計60万円 時事通信ニュースGoogle ニュースですべての記事を見る
ワシントンDC:米国女性政治家の草分け90歳で死去 米政界の高齢化に改めて注目 西田進一郎 | 週刊エコノミスト Online

ワシントンDC:米国女性政治家の草分け90歳で死去 米政界の高齢化に改めて注目 西田進一郎 | 週刊エコノミスト Online

 米国で女性政治家の草分けとされる民主党重鎮のダイアン・ファインスタイン上院議員が9月に死去した。西部カリフォルニア州サンフランシスコ市で初の女性市長を務めた後、1992年に上院議員に初当選。同州からは初の女性上院議員であり、在職は30年を超えて女性として史上最も長く務めた上院議員でもあった。  銃規制強化や環境保護などに尽力したことで知られるが、筆者にとって印象深いのは上院情報特別委員長としての姿だ。2001年の同時多発テロ後にブッシュ政権下で中央情報局(CIA)がテロ容疑者に対して行った過酷な尋問に関する報告書の作成を主導し、14年に公表した。  報告書は、水責め▽氷風呂▽最大180時間眠らせない睡眠妨害──など実際の尋問方法を描き、「政策形成者らに説明していたよりも残酷」「正確な情報を得る手段として効果的ではなかった」と批判するものだった。CIAは反論するなどして公開を遅らせ、公開間近の時期には委員会スタッフのコンピューターに不正に入り込んで捜索していたことまで発覚した。そうした抵抗を押し切り、報告書を公表した。  そんな「闘士」の顔を持っていたファインスタイン氏も90歳になっていた。2月には帯状疱疹(ほうしん)で入院し、8月に転倒して再び入院するなど健康状態は悪化していた。委員会中に混乱したような様子を見せたこともあった。  また、共和党でも、上院トップのミッチ・マコネル院内総務が今夏、記者会見などの場で2回、急に言葉を発さず、固まったようになった。マコネル氏は81歳だ。  このため改めて注目を集めたのが議員の高齢化だ。米議会調査局によると、新会期が始まった今年1月時点で、平均年齢は上院が64.0歳、下院は57.9歳。20年前の03年に比べ、上院は4.5歳、下院は4歳それぞれ上昇していた。ファインスタイン氏の死去を受け、最高齢議員となったのも同じく現在90歳のチャック・グラス… 残り591文字(全文1391文字) 週刊エコノミスト 週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。有料会員になると、続きをお読みいただけます。 ・会員限定の有料記事が読み放題 ・1989年からの誌面掲載記事検索 ・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める
2022年の神奈川県内政治資金 純収入3億6519万円減の59億1297万円 ピーク時の6割に:東京新聞 TOKYO Web

2022年の神奈川県内政治資金 純収入3億6519万円減の59億1297万円 ピーク時の6割に:東京新聞 TOKYO Web

 神奈川県選挙管理委員会は28日、県内の政治団体(支部を含む政党、その他政治団体)が提出した2022年分の政治資金収支報告書を公表した。前年からの繰り越しを除いた純収入は59億1297万円で、前年より3億6519万円減少した。近年は収入減の傾向が続いており、ピークの03年(103億円)の6割程度にとどまった。(志村彰太)  新型コロナウイルス禍の影響が和らぎ、パーティー収入をはじめとする事業収入が前年比で倍増した。一方、選挙のある年に増える傾向がある借入金や党本部などからの交付金収入は減少した。昨年は参院選が行われたものの、その前年に衆院選と横浜、川崎両市長選があった影響とみられる。  各党の県内組織の純収入を合計すると、自民党が17億5590万円(前年比5・7%減)、共産党が11億9897万円(同2・9%減)、公明党が3億3723万円(同3・7%減)などで、微減が目立った。立憲民主党は収入の半分以上を占める党本部などからの交付金が前年比4割減だったため、3億7052万円(同24%減)で減少率が最も大きかった。増加率が最大だったのは国民民主党の6327万円(同85・8%増)。  個別の組織で見ると、収入規模が大きかったのは共産党県委員会の5億1451万円、自民党県連の2億6321万円、公明党県本部の2億5979万円など。その他政治団体では、県医師連盟の1億2037万円、横浜市医師連盟の7389万円、河野太郎事務所の6723万円など。  純収入を大きく増やしたのは、自民党横浜市連の1億839万円(同96・7%増)、共産党北部地区委員会の9677万円(同95・4%増)、黒岩祐治後援会の3821万円(同35・3%増)など。4月に統一地方選があったためとみられる。衆院選がなかったことから、衆院議員関係の多くは収入が半減した。  政治資金パーティーは56団体が計130回開いた。収入総額は5億387万円と前年から倍増し、新型コロナ前の水準に近づいた。収入が1千万円以上の「特定パーティー」は11団体の計13回で、このうち3回は菅義偉前首相が代表を務める「自民党県第2選挙区支部」が開催した。収入が最大だったのは自民党県連の「政経文化パーティー」で、8162万円だった。  収支報告書は県選管に届け出た2101団体のうち、1903団体が期限までに提出。国会議員関係では「グリスタン・エズズと神奈川の未来をつくる会」「小林たけと後援会」「日本維新の会衆議院神奈川県第4選挙区支部」「藤村晃子後援会」が期限内に提出しなかった。提出分は県選管のホームページで閲覧できる。領収書は情報公開請求する必要がある。 
コロナ起源「全ての仮説調査中」 WHO、政治化には警鐘:東京新聞 TOKYO Web

コロナ起源「全ての仮説調査中」 WHO、政治化には警鐘:東京新聞 TOKYO Web

 2022年12月、記者会見するテドロスWHO事務局長=スイス・ジュネーブのWHO本部  【ジュネーブ共同】世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は3日の記者会見で、新型コロナウイルスの起源について「全ての仮説を調査中だ」と述べた。最初に大規模流行が起きた中国に対し、情報の共有を改めて訴えた。  米連邦捜査局(FBI)のレイ長官は2月28日放映のFOXニュースでコロナの起源に関し、中国湖北省武漢のウイルス研究所から流出した可能性が高いと述べていた。テドロス氏は「調査は科学的であるべきだ」として、問題の政治化に警鐘を鳴らした。 
腐敗した政治に若きカリスマが挑む『プレジデント』予告編 | cinemacafe.net

腐敗した政治に若きカリスマが挑む『プレジデント』予告編 | cinemacafe.net

サンダンス映画祭・審査員特別賞受賞の『プレジデント』より予告編と追加場面写真が解禁。さらに監督からのコメントも到着した。>>『プレジデント』あらすじ&キャストはこちら2017年の軍事クーデターで、独裁者ロバート・ムガベ大統領が辞任し、エメルソン・ムナンガグワを暫定大統領に任命したジンバブエ共和国。本作は、クーデター後初となる大統領選の行方を現職のムナンガグワに挑戦する野党MDC連合の党首ネルソン・チャミサの姿を通して記録したドキュメンタリー。監督はユニセフやユネスコのメディア・コンサルタントとしても活躍するデンマーク出身の女性監督カミラ・ニールセン。ジンバブエの新憲法制定に向けた権力闘争を追った前作『Democrats(民主主義者)』(2014年)はトライベッカ国際映画祭で最高賞を受賞するなど高評価を受けた。その続編とも位置付けられる本作は、ジンバブエの、民主化を求める国民と与党の激しい対立を臨場感をもって映し出し、サンダンス国際映画祭でワールドシネマ・ドキュメンタリー審査員特別賞を受賞した。https://www.youtube.com/watch?v=0gW72wrnTmY独裁者ムガベから政権を奪取した際、ジンバブエの軍事指導者たちは、自分たちが支配権を握るのではなく、国民選挙で民主化を確保すると口では約束。この度解禁された予告編では、独立以来ジンバブエを支配してきた与党を倒すべく、40歳の弁護士であるカリスマ、ネルソン・チャミサが、リチウム、プラチナ、金、ダイヤモンドなど60種類もの鉱物資源があるにもかかわらず、国民は貧困に喘いでいるジンバブエの国を変えようと動き出す姿がとらえらている。何十年もの間、腐敗した政治があらゆる手段を用いて権力にしがみついてきた中、自由で公正、かつ透明な選挙は本当に行われるのか? 殺害予告に、銃声と、国内外が注目した選挙戦はさながらサスペンス映画の様相を見せる。民衆が真の民主主義を勝ちとることはできるのか…?併せて解禁となった追加場面写真からも、チャミサが民衆の支持を得ている様子や、チャミサが所属するMDC連合の本部の前に駐車された警察車両など物々しい雰囲気が垣間見れる。さらに、公開を前に、同じアフリカのギニアの駐日ギニア共和国大使館顧問であるオスマン・サンコン氏および、本作監督のデンマーク人監督カミラ・ニールセンよりコメントが到着した。■オスマン・サンコン コメント長期政権→クーデター→軍事政権ボクの生まれたギニアは今この状態にあります。欧米の価値観ではこの状態では民主主義国家と認めてもらえません。ジンバブエではこの状態から大統領選挙を行なうことになりました。本当に民主的な国家とはなんなのかこれから選挙が行なわれるギニアではどうすべきなのかこの映画を見て一緒に考えてもらえませんでしょうか■カミラ・ニールセン監督 コメント観客の頭でなく心に訴えかける必要があるので、私は、観客自身が考えながら観るシネマ・ヴェリテというスタイルでドキュメンタリー映画を作っています。本作は、ハリウッド映画のように、あらすじはドラマチックな三幕構成となっていて、音楽を使っています。そのため、ジャーナリズムとは違い、観客は物語に引き込まれ、理解し、感じることができると思います。現在、世界はほとんどの場合高齢の男性に動かされていて、若い人は、政治に興味がないかもしれませんが、もし民主的なプロセスを尊重し、何年かに1度投票するということをしないと、ある日世界はさらに悪くなるかもしれません。本作の日本での公開のタイミングは、これ以上ないほど完璧なタイミングです。8月23日にジンバブエで次の大統領選挙があります。国際社会の(本作で描かれている)前回の大統領選の扱いは、恥ずべきものでした。本作が国際社会の目を覚ますことができればと思っています。ジンバブエの国民と連帯して、確実に、2018年に起こったことが繰り返されないようにすべきです。『プレジデント』は7月28日(金)より池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺ほか全国にて順次公開。 !function(f,b,e,v,n,t,s){if(f.fbq)return;n=f.fbq=function(){n.callMethod? n.callMethod.apply(n,arguments):n.queue.push(arguments)};if(!f._fbq)f._fbq=n; n.push=n;n.loaded=!0;n.version='2.0';n.queue=;t=b.createElement(e);t.async=!0; t.src=v;s=b.getElementsByTagName(e);s.parentNode.insertBefore(t,s)}(window, document,'script','https://connect.facebook.net/en_US/fbevents.js'); fbq('init', '1665201680438262'); fbq('track', 'PageView'); fbq('track', 'ViewContent');
寺田稔総務相  妻の政治団体が“脱税”していた<大臣秘書官が認める> | 文春オンライン

寺田稔総務相  妻の政治団体が“脱税”していた<大臣秘書官が認める> | 文春オンライン

 寺田稔総務相(64)の妻が代表を務める政治団体が、地元秘書ら事務所スタッフへの報酬支払いを巡り、源泉徴収をしておらず、長年にわたって“脱税”状態になっていたことが「週刊文春」の取材でわかった。大臣秘書官が認めた。 活動形跡がない政治団体が、ほぼ毎年約500万円を人件費として支出  寺田氏は岸田文雄首相と同じ広島県が地盤で、岸田派(宏池会)に所属。現在当選6回で、今年8月の内閣改造で初入閣を果たした。 この記事の画像(6枚) 「東大法学部から旧大蔵省に進んだエリートで、妻・慶子氏の祖父は宏池会の創設者・池田勇人元首相です。2004年4月、慶子氏の叔父にあたる池田行彦元外相の死去に伴う衆院補選(広島5区)で初当選。派閥本流の経歴で、岸田首相の“右腕”と呼べる人物です」(地元記者)  問題の政治団体は、2004年3月に設立された「以正会」。慶子氏は同年5月から代表を務めている。所在地は、東京都千代田区にある寺田氏の自宅だ。  2015年以降の「以正会」の収支報告書によれば、収入は毎年約600万円。その大半を、寺田氏の資金管理団体「みのる会」からの寄附に頼っている。一方、支出は、コピー機リース料や新聞代などが毎年数十万円程度で、光熱費はゼロで推移。そんな中、人件費としてほぼ毎年約500万円を支出してきた。 ただ、慶子氏が政治活動をしている形跡はない。一体、「以正会」は何のための政治団体で、誰に人件費を支出しているのか。
コラム:政治と円相場、日米仏それぞれの影響を考える=内田稔氏 | ロイター

コラム:政治と円相場、日米仏それぞれの影響を考える=内田稔氏 | ロイター

 日銀は14日、国債買い入れの減額方針を決めた。また、植田和男総裁は18日の国会答弁で、7月利上げの可能性に含みをもたせた。ここへきて金融政策の正常化に向けた積極姿勢がみられている。内田稔氏のコラム。写真はテネシー州ナッシュビルで2020年10月に行われたバイデン氏とトランプ氏のディベートの様子。代表撮影(2024年 ロイター)[東京 26日] - 日銀は14日、国債買い入れの減額方針を決めた。また、植田和男総裁は18日の国会答弁で、7月利上げの可能性に含みをもたせた。ここへきて金融政策の正常化に向けた積極姿勢がみられている。それでも市場は1年後の政策金利を0.25%程度としか見ていない。総じて正常化の進展に市場はなお懐疑的であり、国債買入れ減額の詳細を含め、これから実際に打ち出される政策から日銀のスタンスや真意を見極めるまで為替市場では円売り優勢の地合いが続きそうだ。加えて3月以降、先進国では利下げが相次いでいるが、金利差縮小による円高よりリスク選好の円売りが勝っている。「ドル160円」は、為替介入の要所として強く意識されており、ここからは円売りの主戦場がクロス円に移行し、ドル/円の上値は重くなるかも知れない。しかし、そこにドル高がかぶさる場合、介入警戒感や実際の介入があっても、ドル/円の続伸は避けられない。実際、足元で堅調なドル/円には円安に加えてドル高も影響しているとみられる。<ドル/円上昇招くフランスの政治不安>その背景にあるのは米国の利下げ観測の後退のほか、フランスの政治的不透明感に起因するユーロ安だろう。フランスではマクロン大統領が国民議会(下院)の解散と選挙に踏み切ったが、世論調査によれば極右の国民連合(RN)が大幅に議席を伸ばし、第1党となる見通しだ。マクロン大統領率いる与党連合は左派連合にも及ばず、第3勢力へと後退する公算が大きい。市場では国民連合による拡張的な財政政策とフランス国債の格下げが連想されており、ドイツとの長期金利の差(独仏スプレッド)も一時80ベーシスポイント(bp)と前回の大統領選があった2017年以来の水準まで拡大した。実際、フランスの財政に関する数値は現時点でもユーロ圏の平均に劣る。例えば、フランスの24年の財政収支(対国内総生産比でみたフロー)は4.9%の赤字だが、これはフランスを除くユーロ圏平均(2.3%の赤字)の倍以上だ。プライマリーバランスの対GDP比もフランスを除いたユーロ圏の赤字が1.0%であるのに対し、フランスの赤字は2.9%にのぼる。公的債務残高(グロス、ストック)もフランスを除いたユーロ圏の平均71.2%に対し、フランスの方が111.6%と高い(数字はすべて国際通貨基金)。本来、こうしたユーロ安が対ドル、対円にバランスよく波及する限り、ドル/円には中立の材料となるはずだ。ただ、日本の実質金利が大幅なマイナス圏にある為、実際にはそうはならない。また、フランスの政治的な混乱を背景に市場がリスク回避的となる場合でも、同様の理由からリスク回避の円買いが起こりにくいか、起きても短期間で収束するだろう。これは23年3月に米国のシリコンバレー銀行(SVB)が破綻した際、リスク回避の円高が限定的だったことからも確認済みと言える。従ってフランス、ひいてはユーロ圏の政治不安は引き続きドル/円を下支えしたり、押し上げたりする材料として機能する可能性が高く、今後も予断を持たずに注視しなければならない。<トランプ氏返り咲きならインフレ再燃か>米国の大統領選によるドル/円への影響も見ておこう。世論調査の集計によるとトランプ前大統領の支持率はバイデン大統領をわずかながらも上回っており、これは有罪評決の前後で大きく変わっていない。この背景に、世論の関心が経済やインフレに向けられており、裁判への関心がそれほど高くないことが指摘されている。目先は現地時間27日夜のテレビ討論会が重要だ。ここでバイデン大統領が言い間違えや記憶相違を見せれば、トランプ陣営は健康不安を突破口に攻勢を強め、一気に形勢がトランプ前大統領に傾く可能性もある。仮にトランプ前大統領が復帰するならば、これまでの発言に照らし、インフレ再燃を警戒しなくてはならない。例えば、トランプ前大統領は就任早々、バイデン政権の国境開放措置をすべて停止し、「米国史上最大の強制送還作戦」を実施すると発言している。これは、労働力の供給制約を強め、賃金インフレを高める恐れがある。また、25年に失効する自身の前政権時代に導入した所得税減税を恒久化するとしている。こちらも消費への刺激を通じ、インフレを助長する可能性が高い。さらに、その財源として輸入関税の引き上げが検討されている。対中国の60%に加え、その他の国にも10%を課すとされており、やはりインフレ圧力となりそうだ。いずれも利下げシナリオの後退や利上げシナリオの再浮上をもたらし、ドル高を招くと考えられる。もっとも、移民の減少は住宅需要の後退による市況の悪化や個人消費への下押しを通じ、インフレ圧力の緩和をもたらす可能性もある。そもそも所得税の減税恒久化は、大統領選の勝利に加えて上下両院の過半数も共和党が占める、いわゆる「トリプルレッド」とならなければ実現性に乏しい。また、拡張的な財政政策へ舵が切られる場合、経常赤字国通貨であるドルには下落圧力が加わる可能性もある。さらに貿易収支の不均衡がテーマとなれば、ここまでのドル高円安に対する政治的なけん制をきっかけに、相場付きが変化する可能性もある。米大統領選はドル/円に双方向の圧力をもたらすイベントとの認識が必要だろう。<日本の政治と円相場>最後に日本の政治を見ておこう。現在、岸田政権の支持率が低下しており、市場では近い将来の政権交代の可能性を指摘する声も聞かれる。政権交代が起きるとすれば、解散がない限り、現在の衆議院が任期満了となる25年10月末までに行われる総選挙での話となるが、1年以上も先であり、新政権の政策も未知数だ。それでも、22年の参院選における公約から各党の経済政策の基本的なスタンスはうかがえる。いずれの党も時限的か恒久的かの違いを除けば、消費税率の引き下げ(または廃止)を含む拡張的な財政出動の必要性を訴えている点で一致している。新政権が発足する頃には既に、日銀が国債買入れの減額を進めている可能性が高く、こうした拡張財政は長期金利に対して上昇圧力となる可能性が高い。これは潜在的な円高圧力となり得る反面、急激な国債需給の悪化が円安に結びつく可能性にも留意が必要だ。特に、長期金利が大きく上昇する局面では、新政権が2013年の政府・日銀共同声明を前面に押し出し、日銀に対して慎重な正常化(利上げ)を求めることも想定される。拡張的な財政運営がインフレ圧力をもたらしているとするなら、長引く低金利は実質金利(=名目金利-インフレ率)の低下を通じて、強い円安要因となる。7月7日に控える東京都知事選も国政選挙の縮図とみるなら、その結果次第で政局に発展する可能性がある。為替相場にも影響し得るイベントとして注目すべきだろう。編集:宗えりか(本コラムは、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています)*内田稔氏は高千穂大学商学部教授、株式会社FDAlco外国為替アナリスト、公益財団法人国際通貨研究所客員研究員、証券アナリストジャーナル編集委員会委員、NewsPicks公式コメンテーター(プロピッカー)。慶應義塾大学卒業後、東京銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行し、マーケット業務を歴任。2012年からチーフアナリストを務め、22年4月から高千穂大学商学部准教授、24年4月から現職。J-money誌東京外国為替市場調査では2013年より9年連続個人ランキング1位。国際公認投資アナリスト、日本証券アナリスト協会認定アナリスト、日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト、経済学修士(京都産業大学)。*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」New Tab, opens new tab

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