SFプロトタイピングから「Web3×公共」まで──“手を動かしながら学ぶ”ワークショップ開催!:WIRED CONFERENCE 2022【ワークショップ解説編】 | WIRED.jp

パンデミックにより、現在の延長線上で未来を描くことが難しくなったいまだからこそ、SF(サイエンス・フィクション/スペキュラティヴ・フィクション)の力を用いて「ありうる未来」を構想し、そこからバックキャストで「これからすべきこと」を考察する──『WIRED』日本版はWIRED Sci-Fiプロトタイピング研究所の活動を通じて、その重要性をこれまで世の中に問うてきた。

SF作家がもつ未来を描く「想像力」とビジネスにおける「実装力」を交差させてきた同研究所が、20XX年の未来を想像するためのSFの力を体感できる特別プログラムを開催する。

“AUGMENTED ECOSYSTEMS” AS A TOOL(DAY1)
さあ、渋谷の街に繰り出そう! 「拡張生態系」から都市をつくり変えていくためのワークショップ

人間が自然へと積極的に関与していくことで、環境を再生し、生態系にポジティブな影響を与えていく「拡張生態系」。22世紀においても人々が都市に集積しているとすれば、その環境を人間の手で拡張していくことが重要なはずだ。

生態系という全体像のよく分からないものと向き合うときに大切なのが「謙虚さ」を忘れないこと。万能感を捨て、「この取り組みによって環境がよくなる」と安易に言わず、人間はあくまでも生態系の一部に過ぎないことを自覚する。そんなマインドセットをもち、都市を眺めることで、人間と自然との新たな関係性が見えてくるはずだ。

「拡張生態系」の研究に関わってきた片野晃輔、山口情報芸術センター[YCAM]でバイオテクノロジーの芸術表現への応用や教育プログラムの開発などの実践をしてきた菅沼聖、津田和俊と開催する本ワークショップでは、カンファレンス会場を飛び出し、渋谷の街へと繰り出す。「拡張生態系」の眼差しでその風景を捉え直すことで、豊かな生態系に包まれた未来の都市像を考えていく。

BUILDING THE NEW COMMONS(DAY2)
誰のためのWeb3?「公共」と「コモンズ」を豊かにするブロックチェーンを体験し、実装せよ!

経済や投資の側面ばかりが注目されるWeb3だが、その真価が発揮されるのは、格差や気候変動といった社会レベルでの“コーディネーションの失敗”へのアプローチにあるはずだ──。

オープンソースのWeb3プロジェクトに資金提供を行なう組織GitCoinの創設者ケヴィン・オウォッキは、環境問題も民主主義の失敗も経済の極端な格差も、結局は人間が協働に失敗し、ポジティブな外部経済性をうまく利用できていないことが原因であるとし、「リジェネラティブなクリプトエコノミー」の重要性を主張した。Web3テクノロジーを用いて適切なインセンティブ設計をすれば、現代社会のウィキッド・プロブレムを解消できるというこの考え方がいま注目を集めつつある。